採集記 2002.07.05〜06 山形編



プロローグ


6月8日に山形でオオクワを採集した話を仲間にした。
すると、出る出る。
5〜6人でそれぞれ山形の思い出話に花が咲いてしまった。
みな山形ポイントに夢を抱き、一度は訪れながらもまだ採集はしたことが無かったのである。
中でもKBさんから、「是非行きたい」と話があり、「んじゃ」と言うことで、
「7月5日〜6日(正確には7日朝)までの山形採集」
が決定した。
他のメンバーにも声はかけたのであるが、さすがに山形は遠い。
なかなか都合がつかなくもあり、参加者はKBさん、佐渡2号さん、私の3人となった。
前回、あんなに遠かった山形なのに、懲りない私なのである。
ま、今回は運転手の交代要員もいるし、きっと大丈夫だろう。
ちなみに、住んでいる所の関係で、佐渡2号さんは現地集合である。



初日開始


当日7月5日。
午後1時に待ち合わせ、いよいよ出発である。
天気も上々、心も軽く車を走らせる。
東北道を走り、一般道に下りて現地到着は6時半頃であった。
今回はKBさんがライトトラップを持ってきている。
チョット仮眠の後、ライトトラップを設置する。
簡易なライトトラップのため、簡単に設置が終了した。
午後8時、いよいよライトオンである。
が、実はここは外灯採集で成果は出ているが、まだライトトラップでは経験が無い。
そこで、ライトトラップをセットしたまま、外灯採集に出発することにした。



さっそく街灯回り


まずは、最初の外灯である。
KBさんが車を降り、外灯下をチェック。
何かを拾っている。
私はと言えば、前回オオクワを採集しているので余裕である。
この段階でようやく車を降り、チェックを始めた。
ここでは、コクワ、ミヤマなど5頭を採集した。
普通種とは言え、幸先が良い。
次の外灯に進む。
またKBさんが車を降りる。
ここでも普通種を採集。
次の外灯に進み、KBさんが普通種を採集...
今日はやけにクワガタが多い。
普通種とは言え、外灯ごとに次々に採集できる。
「これはきっと飛びますよぉ!」
オオクワ採集マインドがいやが上にも盛り上がってきた。



佐渡2号さん登場!


こうして、次々に普通種を採集しながら進んでいき、前回私がオオクワを採集したポイントを過ぎた頃、前方から見慣れた車が。
いよいよ佐渡2号さんの登場である。
佐渡2号さんもライトトラップを持ってきている。
KBさんも自分のライトトラップが気になる風でもある。
それじゃと言うことで、私だけ更に先のポイントに向かい、佐渡2号さんとKBさんはライトトラップポイントに戻ることにした。
実は私は前回、最後の最後オオクワを採集した後、更に先の自動販売機のところで車に轢かれたオオクワを見てしまっていた。
恐らくそちらでもオオクワは採れるのだろうと言う事で、今回は是非その辺まで行きたかったのである。
もっとも、その後その自動販売機まで行き着いたが、普通種は採れるもののオオクワの姿をみることは出来なかった。
「ま、そんなに簡単には採れないでしょ」
と言うことで、ここで引き返すことにする。
何とここまで、1時間以上が過ぎていた。
通常、クワガタが飛ぶゴールデンタイムは8時から10時頃までの2時間ほどである。
なのに、ここ山形では外灯チェック片道に1時間もかかってしまう。
それだけ広い範囲にオオクワの採集ポイントが分布していると言うことである。
しかも、外灯が万遍なく配置されている。
狩猟民族にはたまらない採集地なのである。



果たして3連勝の夢はかなえられるか?


さて、帰り道。
行きと同様、普通種を採集しながら来た道を戻る。
昨年、オオクワ♂が鳥に腹を食われ死んでいた所が近づく。
ここは、オオクワこそ採れていないが、昨年からノコ、コクワは結構採れており、期待のポイントなのだ。
車を停めようと近づいていくと、ライトの中に現れ出るフォルム。
「でかい! 間違いなくオオクワだ!!」
でかいと言っても♀ではある。
が、今までこの山形産地では見たことが無い大きさに見えた。
「飛ぶなよぉ〜」
と思いながら、ゆっくりと車を降り、彼女に近づく。
間違いない、オオクワである。
45〜46mmはありそうに見える姿で堂々と歩いていた。
(実際には、後で測定したら40mmくらいしかなかった(苦笑))
これで、山形は3連勝である。
なんと素晴らしい所なんだろう。



オオクワはみなほぼ同時刻に...


車に戻り、ひと安心しながら先に進む。
街灯ごとにチェックしながら進むと、向こうから佐渡2号さんの車がやってきた。
どうやら、二人ともライトトラップを離れ、街灯チェックに来たようである。
車を降り、KBさんに近づくとおもむろに右手を出し、握手を求める。
「え〜! まじですかぁ?」
この瞬間がたまらないのである。
しっかり二人に握手をした後、
「じゃ、今度はこちらから...」
とKBさん。
「嘘っ!」
と、私。
「今、そこの街灯で私が♀を、その後佐渡2号さんが♂を採りました。」
がぁ〜ん!
なんと、3人ともほぼ同時刻に採集を果たしていたのである。
「いやぁ〜、やりましたねぇ」
自分だけ採ると、嬉しい反面、気が引けるものもあるのだが、3人とも採ったとなるとまったく違う。
お互い大いに喜んでライトトラップの所へ戻ることにした。
一応、それぞれ採集したことだし、ライトトラップをたたんで、少し離れた別のポイントに移動することにしたのである。



二匹目のドジョウ、いや、オオクワは


「さっきここで佐渡2号さんが♂を採集したんですよ。」
とKBさんから聞いているうちに、佐渡2号さんは車を降り街灯の下を探していた。
と、
「いました、今度は♀です。」
へっ?
「さっき♂がいたから、♀もいるんじゃないかと思って探してみたら、やっぱりいましたよ」
と、佐渡2号さん。
樹液採集じゃないんだから、そううまくは行かないだろうと思いながらも、いたものは仕方が無い。
「やりましたねぇ、これでペアでゲットじゃないですかぁ!」
と私。
実は我々はあまり標本はやらないので、♂だけ採集と言うのは意外と嬉しくない。
が、♀も採集した上に♂を採れると最高なのである。
佐渡2号さんにとっては初のこの産地の♀であり、喜びもひとしおであったろうと思う。
が、これで4頭目のオオクワである。
う〜ん、こんなに採れていいのだろうか。



かわいそうな置き去りのライトトラップ


さて、車に戻りライトトラップを置きっぱなしのところに戻る。
車を停めるまもなくKBさん、
「ミヤマが落ちてますよ。あれっ? あれはオオクワじゃないですかね。」
停めたかどうかという段階であっという間に車を降りてゆき、
「やっぱりオオクワだ!」
ライトトラップでのオオクワ♀初採集の瞬間であった。
「採れそうだとは思っていたんですけど、やっぱり採れましたねぇ」
自分で見つけたライトトラップポイントだけに、これまた一層嬉しいようである。
それにしても、たかだか30分くらいなものだろう。
その間に1♂4♀が採集されたのである。
確かにこの日、気温と言い、月齢と言い、
「きっと採れますよ」
と言っていたとは言え、まさかこんなに採れるとは思わなかった。
きっと、よほどオオクワが濃いのであろう。



移動


と言うことで、充分にこのポイントでの採集を堪能したので、トラップをたたみ、別の場所に移動することにした。
かれこれ11時は過ぎていたことと思う。
途中まで2台の車で移動し、そこから佐渡2号さんの車に乗せてもらうことにした。
今度の所は、昨年私が山形で唯一オオクワを採集した場所である。
昨年採集したのは午前1時を過ぎたくらいの時間であったため、今年だってまだ採れるかもしれないと期待がある。

途中普通種はポツポツと採れなくも無いが、さすがに数は少なくなった。
ゴールデンタイムならもっと沢山採れるのだろうか?
徐々に先に車を進めていく。
この辺りの一番の有名ポイントに着くが、何もいない。
この先は、いよいよ私が昨年採集した場所である。
期待は高まったのであるが、まったく虫の姿は無かった。
更に奥まで進んだが、残念ながらその後クワガタの追加はなし。
仕方が無いので、またルッキングをしながら私の車を置いた所へ戻った。



嘘っ!!(@@


到着時間は午前2時過ぎである。
 「さあ、今日はこれでおしまい、明日に備えて寝るぞ!」
と思って準備をしていたら、佐渡2号さんと、KBさん、
 「これからもう一度、トラップした方まで行ってみようと思うんですけど」
ゲゲッ!
今何時だと思ってるんだろう?
若いと言うか、根性があると言うか...
どおりでオオクワの採集数で敵わないわけである。
 「じゃぁ、途中寝ちゃうかもしれないけど、それでも良いなら付き合うよ」
う〜ん、私もこれがなかなか...(苦笑)

結局、普通種は何頭か追加したものの、もちろんながらオオクワはなし。
車の所に戻ったときには午前4時近くになり、夜もほんのり明け掛けていた。
佐渡2号さんはこれから帰宅するのである。
充分に気をつけて帰って欲しいものだ。
が、我々とて明日はまた採集するのである。
明日(と言うか今日なのだが)、採集になるかなぁ。



二日目に突入


朝目がさめると午前8時過ぎくらいであった。
まだ4時間しか寝ていない。
が、車の外でKBさんがワサワサ動いていた。
何かと思って聞いたら、
 「テントの中に雨が入ってきました」
まさか雨が降るとは思わなかったので、フライを掛けないでおいたのだ。
私はと言うと、車の中で寝ていたので気がつかなかった。
なぜなら、私と一緒ではうるさくて眠れないらしい...
困ったものである>私

まぁ、目がさめてしまったものは仕方が無い。
とりあえずヒメオオでも探しに行くことにした。
まず、近くのブナ林を目指す。
舗装された山道をどんどん登っていき、チョット雰囲気が出てきたのであるが、結局何もいなかった。



なぜか温泉(^^;


それじゃ、と言うことでチョット離れた所にあるダムを目指すことにする。
ここは前回来た時に通ってみてチェックしておいた場所である。
途中途中生えているヤナギを見るが何もついていない。
単に見つけられないだけなのかもしれないが、自動車道路沿いでは無理があるのかもしれない。
そこで、近くの温泉に行く林道に入ることにする。
まるで檜枝岐の○○林道のような感じである。
途中、凄く雰囲気が良いヤナギの群生地を見つけ、本気でルッキング。
...が、何もいない。
チョット標高が低いのだろうか?
そうこうしている内に行き止まりにある温泉についてしまった。
ちなみにここは、秘湯と呼ばれる野天の間欠泉である。
クワガタはまったく採れなかったが、あまりにも気持ちが良かったので良いことにしよう。



いよいよナイター


さて、そんなこんなで昨日の採集地まで戻る。
大体において、オオクワ採集の場合、ヤナギの下に2匹目のドジョウはいない。
未だかつて二日続けてオオクワを採集したことは無い。
が、まぁ、ここは結構オオクワが濃そうである。
一つ今までのジンクスに挑戦してみよう。
と言うことで、一眠りしてライトトラップをセットした後、街灯採集を開始。
KBさんは、奥の方のポイントを集中的に探したいと言うことなので、私の秘密兵器「キックボード」を渡して残ってもらうことに。
街灯ごとに車を停め、真剣にルッキングを行う。
まずミヤマ、アカアシなどが採れる。
下に下がっていくに従って、コクワ、ノコが中心となってくる。
遂にいつものUターン個所に来るが、オオクワはいない。
 「まぁ、まだ時間も早いことだし...」
と自分を慰めつつ、もと来た道を戻る。
またまた、普通種はそこそこ採りながらKBさんの元へ戻る。
時間は9時半を過ぎていただろうか。
車を停めると、KBさんが寄ってきて、
 「♂を採りましたよ!」
うっ、また負けた!(涙)
その後、ライトトラップポイントに戻り来ていたミヤマなどを集めているうちに午後10時を過ぎる。
今日は帰宅しなくては行けないということもあり、早めに引き上げることにした。



いつものことながら、よせばいいのに新潟回り


 「新潟の方のポイントも見ながら帰りたいのですが」
と言うKBさんの意見を入れ、帰り道は新潟回りで帰る事にする。
まずは、昨年普通種タコ取れしたダムに。
今年は水銀灯が半分以上消されている。
しかも、時間が遅いせいか、クワガタはまったくいなかった。
その後、もう一箇所のポイントを回るが、こちらもノコ♀が採れたくらいで、一般種すら殆どいない。
さすがに時間が遅いのであろう。
ちなみに、この段階で既に午前2時を回っていた。
と言うことで、今回の採集行はこれで終わりである。
後は延々と関越を戻り、家に着いたときには既に朝になっていた。



エピローグ


ちなみに、走行距離は1150km
前回もそのくらいであったが、さすがに1000kmを越えると辛いものがある。
今回は二人連れだったからいくらか楽だったのだが、果たして次回はいつ行けることか...
(翌週また行っちゃいました(苦笑))

ちなみに、今回の成果は、
  私:オオクワ1♀
  KBさん:オオクワ1♂2♀
  佐渡2号さん:オオクワ1♂1♀
  普通種(ミヤマ、アカアシ、コクワ、ノコ):150頭くらい
であった。






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