採集記 1996.10.04 檜枝岐編

この採集記は、昨年M氏に宛てて出したメールの内容を一部加筆、修正した物です。



プロローグ


1996.10.04〜10.05にかけて檜枝岐に行って来ました。
目的はヒメオオクワガタです。
実はそれまで、「ヒメオオクワガタ」の名前さえ知らなかったのです。
しかし、図鑑で見たと同時に、後のクワ友M氏からも情報をもらい、この季節でも採集可能と知り、急遽行ってみることにしました。
何しろ、今年の夏から本格的にクワガタにハマった我々としては、一夏では欲求不満でした。(^^;

結果から言いうとヒメオオの♂を一匹、♀を三匹、アカアシの♂を二匹ゲットです。(^^)/
ヒメオオの♂のなんと気品のあること!
感激です。
かっこいいですね(ちなみにオオクワガタはまだ見たこともないです(^^;)。



出発


10/4午後9時頃に友人と待ち合わせて入間市を出発。
所沢インターから関越道に入り、外環を通って東北道に出ました。
途中季節はずれの雷雨になって、
  「この調子で降られるとクワガタも出てこないのでは?」
と心配になりましたが、高速を降りる頃にはかなり小雨になっていました。
途中、豪雨の中、サービスエリアで夜食にうどんを食べたりしました。
高速を降りたのは確か12時前で、
  「なんだ、結構早くつきそうだな」
なんて感じです。
が、高速降りてからの遠いこと。
R400から、R121、R352と移る度にそろそろかなと思いましたが、結局駐車場に着いたのは午前二時半頃になっていました。

それにしても意外だったのは、こんな時間帯なのに結構同方向に走る車が多かったことです。
私も結構スピードを出していたのですが、後ろから追われるのが面倒なので追いつかれる度に抜かさせていました。
翌日になって初めて気がついたのですが、紅葉の季節だったんですね(^^)。
尾瀬に行きたい人たちの車だったようです。

で、駐車場についてこれまたびっくり、200台くらい止まれそうな駐車場なのに、既に8割方駐車済みでした。
  「ひょとしたら、この中の何割かはクワガタかぁ?」
と心配していたのですが、そんな物好きは我々だけだったようです。(^^;
翌日(当日ですけど)午前7時頃起きてトイレに行ってまたびっくり、女性トイレの並んでいること...
ひょっとしたら一時間くらい並ぶのではないかって感じです。
幸い男子トイレは比較的込んではいなくて(とは言っても中にはびっしり人が並んでいましたが...)助かりました。
とてもではないけど、家族なんかを連れてはこれないなぁ。
だけど、周りの木は結構きれいに色づいていて、やはり、紅葉のシーズンだからなぁなどと変な感心もした物でした。
車の陰で内緒でお湯を沸かして、カップラーメンなどを食べ、コーヒーを入れて、8時頃からいよいよ採集開始です。



午前中


駐車場から林道に行く迄の道沿いの柳も一応見ていたのですが、結局一匹も見つからずに目的の林道に到着。
資材置き場に車を止めて、とりあえず登りながら見て歩くことにします。
実は、「かけや」とか、「鉈」とか、「たがね」とか各種の道具を持っていたのですが、ヒメオオの場合何を持っていったらいいのか考えあぐね、結局は重い物はすべてやめて、釣り竿と網だけを持っていくことにしました。

ところが、柳の木だけは結構丹念に見ているつもりなのですが、一匹も見つかりません。
  「昨日降った雨がいけないのかなぁ」
とか、
  「韮崎みたいにまた坊主になるじゃないかなぁ」
とか考えながら歩いていると、
  「いた!」
と仲間の声、言われた所を見ると、なるほどいました。
図鑑で見た通り、柳の枝にしがみつくように一匹見えます。
網を伸ばし(子供用の網を借りてきていまして、2mくらいには伸びます)、捕ろうと思いましたがまだ届かず、釣り竿の世話になることになりました。
もっとも釣り竿は畳んだ状態のままで、網の柄にガムテープで張り付けただけで捕れましたのでそれほど高い所にいたわけではありませ。
でも網も釣り竿も持っていかなかったら危ないところでした。
実は、ヒメオオ採集には長い網が必要だよと教えてくれたのはMさんでした。
ホント、良かったっす。

最初の獲物はヒメオオの♀でした。
メスのくせに結構大物(ヒメオオにしては普通くらいなのでしょうが、普段コクワやノコのメスばかり見ていますので大きく感じました)で、黒々とした色合いには
  「さすがは、ヒメオオだ!」
と思わせる趣がありました。
時間的には午前9:30頃でしょうか。
おかげで今までの心配も吹き飛び、
  「更にこれで気温が上がってくればどしどし捕れそうだな」
などと逆に強気になったりして、柳の木を見るのにもいっそう気合いが入ったものです。

しかし、なかなか次の獲物が見つかりません。
だんだん頂上に近づいてきてしまい、いったん降りてトイレに行くことにしました。
トイレからの帰り、林道に近づいてきたところで、今度はガソリンが残り少なくなってきていたことに気づき(出発するときに満タンにしたのに、檜枝岐は本当に遠いです)、町までガソリンを入れに行きました。
来るときは夜中だったせいで気がつきませんでしたが、途中の道はいかにも紅葉真っ盛りで、家族も連れてきてやればよかったかなぁなどとちょっと後悔。
何だかんだでガソリンを入れた頃は11:30頃になってしまったので昼飯にしました。

結局、午前中の成果はヒメオオのメスが一匹。
  「2〜3匹は捕れるのでは...」
とは聞いてはいたのです(M氏から)。
だけど、図鑑の解説の所では、
  「午前中に20匹捕れた」
という話も載っており(10年くらい昔かもしれません)、内心ちょっと期待していたのですが、この期待は見事に裏切られてしまいました。



午後


体力がない私は午前中の山登りで結構きてまして、午後は車で登ることにしました。
柳の木がある度に車を止めて、丹念(のつもりで)に探すのですが、アカアシ一匹見つかりません。
結局そのまま頂上に着いてしまいました。
他の林道にゆくか、そのまま反対側に降りるか決めかねたのですが、もう少し、もう少しと思いながら反対側に降りました。
(車だから出来たんですけどね、歩きだったらとっくに戻っていたと思います。(^^;)
一匹も見つからないままいい加減進んで、さすがにそろそろ戻るかと思いかけた頃、
  「いた、いた!!!」
高さとしては1mくらいの所に立派な♂を発見。
あわてて車にカメラを取りに戻って、シャッターを一回、二回。
  「あれっ?」
と思ったら実はそいつは交尾中。
ヒメオオ君、失礼しました。
  「ラッキィ!」
ってな訳で2匹ともおいしくいただきました(って、食べたわけではないですけど...(^^;;)。

こうなるともう一匹オスがほしくて、更に先に進みます。
しばらくして、
  「いた!」
という声がして、見に行くと、
  「どうもオスらしい」
と言うことです。
今度は結構高いところにいます。
結局釣り竿を3段伸ばし、その先に例の2mの網の柄をガムテープで張り付けて捕りました。
しかし、網から取り出してみたら、残念ながらアカアシ。
とはいえ、一緒に行ったやつはアカアシも初物で、
  「結構かっこいいじゃん」
とか言って喜んでいましたので、
  「まぁとりあえずいいか...」
って感じでこいつも持って帰ることにしました。

その後しばらく探し、結局ヒメオオのメスが一匹とアカアシのオスが一匹捕れましたが、残念ながらヒメオオのオスはさっきの一匹だけでした。
まだ、道は先があり、柳の木も結構残っていたのですが、時間も5時頃になり、あたりも暗くなり始めていましたので、残念ですがこれでタイムアップです。

この林道はその後相当悪路になりましたが、結局奥只見湖迄抜けており、最初からの予定通り、そのまま小出に向かって関越で帰ってきました。
私たちの家は圏央道の入間インターのそばにあるため、関越から圏央道に抜けてきたら4時間弱くらいで着くことが出来ました。
来年は関越から行こうと言うことで、早くも来年を期してヒメオオ採集ツアーを終わったのでした。
(が、翌年は同行した友人は早くもクワガタに飽きてしまい、一緒に行くことは出来ませんでしたが...)



エピローグ


ただ、捕れたオスが一匹だけだったため、クワガタは全部友人にあげてしまい、結局私の所には一匹ももって帰りませんでした。
月曜日に他の人に見せるため、会社に持ってきていましたが、やっぱりヒメオオは気品があって、かっこいいです。
♂の大きさは54mmでした。
当時の私はヒメオオの♂はこれ一匹しか見たことが無く、そんなもんなんだろうなぁと思っていました。
後で聞いたところによると、結構大物みたいです。
でも、そんなこと気が付かなかった我々は死んだ後、土に埋めてしまいました。
今から考えると標本にでもしておけば良かったなぁと後悔しています。

次は是非ともオオクワを見てみたい物だと思います。



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